クロマティックスケール(半音階)とは?
いまいち、使い方が分からないという音階にクロマティックスケールという音階があります。
クロマティックスケールは、日本語では半音階と言って、音階の並びが「半音・半音・半音・半音・半音・半音・半音・半音・半音・半音・半音・半音」というように全て半音の音程差になっている音階です。
”いやいや、12平均律の楽音全て弾いているじゃん”と言った感じで、いまいち使い方が分からない音階だと思いますが、全ての楽音を弾いているので、徐々に音が上がっていく、または、下がっていくようにしたい時などに使えます。
アドリブ演奏で困った時
個人的には、クロマティックスケールは、アドリブ演奏で困った時などに使います。
クロマティックスケールを使えば、とりあえず、伴奏の構成音の何かしらの音に当てはまります。
ですので、当てはまった音から逆算する感じで、その伴奏のコード進行などを割り出して、その伴奏にある適したスケールを見つけるためにクロマティックスケール使ったりします。
全音音階とは?
もう一つ、使い方がいまいち分からない音階に、「全音音階」という音階があります。
全音音階は、「whole tone scale」(ホール・トーン・スケール)とも呼ばれる音階で、音の並びが「全音・全音・全音・全音・全音・全音」というように全て全音の音程差で並んでいる音階です。
全音音階の使い方
全音音階を弾いてみると分かりますが、調性が全くなく、常に不安定で、どこにいるのか分からないといった不思議な雰囲気を感じられると思います。
ですので、この特性を利用して、調性を感じさせず、不思議な雰囲気を作りたい時に全音音階を利用すると良いと思います。
ただ、伴奏に合わせるメロディーやフレーズとして使用すると、違和感がものすごいので、単音のフレーズとして、楽曲の始まりなどに利用するといった使い方をすると良いかもしれません。
作曲に便利な音階(スケール)とは?
以前はアドリブ演奏に役立つ音階としてダイアトニックスケールを紹介しましたが、今回は作曲する際に使うと便利な音階(スケール)を紹介していきたいと思います。
作曲で何かしらの音階を使う場合、その音階自体がメロディックでないと使いづらいと思いますので、音階をそのまま弾いただけでもメロディーとして感じられるようなスケールを紹介していきます。
五音音階
五音音階というのは、五つの音だけ使って作られる音階の事です。
この五音音階の中には種類がいくつかあって、それらの音階を使うだけで和風なメロディーや民族的なメロディーを作る事が出来ます。
ペンタトニックスケール
五音音階の中でも最も有名で、ロック、ブルース、J-POPなど、様々なジャンルで使われているのがペンタトニックスケールという音階です。
ペンタトニックスケールにはメジャーとマイナーの二種類があります。
メジャーペンタトニックスケール
メジャーペンタトニックスケールは、ナチュラルメジャースケールの第四音と第七音を省いた音階です。
マイナーペンタトニックスケール
マイナーペンタトニックスケールは、ナチュラルマイナースケールの第二音と第六音を省いた音階です。
メジャーとマイナー、どちらのペンタトニックスケールを弾いても、和風の雰囲気が漂うと思います。
最近だと、米津玄師さんなどが良く使っている音階だと思います。
律旋法(りつせんぽう)
律旋法というのは、ナチュラルメジャースケールの第三音と第七音を省いた五音音階です。
律旋法も和風な音階ですが、ペンタトニックスケールとはまた少し違った雰囲気で、どちらかと言えば中国の民謡の様な雰囲気が強い感じがする音階となっています。
ただ、ややこしいのが、この律旋法という音階を弾くと、調性の感じ方として、この画像で言うと「ファ」の音が長調における主音に感じられるようになり、「レ」の音が短調の主音に感じられるようになります。
ですので、律旋法の考え方としては、ペンタトニックスケールにおける第五音から弾いた音階と考えると良いかもしれません。
琉球音階
琉球音階という五音音階は、ナチュラルメジャースケールの第二音と第六音を省いた音階となっています。
琉球音階は、沖縄音階とも呼ばれ、沖縄の民謡などで使われる音階となっています。
琉球音階の特徴として、五つの音のいずれかから音階を弾き始めても、マイナーな響きになる事が無いという特徴があります。
マイナー・ブルース・スケール
マイナー・ブルース・スケールは、五音音階ではないのですが、ロック系の楽曲を作る時に使うと、一気にロックの雰囲気が作れるとても便利な音階です。
マイナー・ブルース・スケールは、マイナーペンタトニックスケールに、フラットファイブの音を付け加えた音階になります。
※ フラットファイブというのは、完全五度の音にフラットを付けた「減五度」の音の事です。
マイナーペンタトニックスケールに♭5の音が付け足される事で、少し暗い響きが強調されるようになり、ブルースなどの独特の雰囲気が作られます。
ここまでに紹介したスケールを使えば、かなり幅広いジャンルの楽曲でメロディーが作れるようになると思いますので、是非、これらの音階を使ってみて頂ければと思います。
アドリブ演奏で役立つ音階(スケール)
音階(スケール)の種類を覚える人の多くは、作曲の際にメロディーを作るのに音階を利用するか、アドリブ演奏に利用するために音階を覚えると思います。
アドリブ演奏で特に役立つのがダイアトニックスケールという七つの音階です。
ダイアトニックスケールとは?
ダイアトニックスケールとは、ナチュラルメジャースケール、または、ナチュラルマイナースケールの七つの音を音階の始まりの音として、そのナチュラルメジャースケール、ナチュラルマイナースケールの音だけを使って連続した七つの音で作る音階の事です。
例えば、「ドレミらソラシド」というナチュラルメジャースケールの場合、
- ドレミファソラシ
- レミファソラシド
- ミファソラシドレ
- ファソラシドレミ
- ソラシドレミファ
- ラシドレミファソ
- シドレミファソラ
というようにして作る7つの音階がダイアトニックスケールです。
このダイアトニックスケールが、どうしてアドリブ演奏で役立つのかというと、この七つの音階は「調性」の中で作られる音階だからです。
調性とは?
「調性」というのは、特定の音を主に使って楽曲を作る仕組み、または、その事によって作り出される秩序の事です。
一つの楽曲において、その楽曲の中で使う楽音というのは、その楽曲の「キー」(調)によって定められます。
例えば、「Key : E Major」(ホ長調)という場合、「ミファ#ソ#ラシド#レ#」という七つの音を主に使って楽曲を作ります。
この「Key : E Major」というのは、「E」(ミ)を主音とするナチュラルメジャースケールの音を使う、という事を表しています。
なぜ、楽曲の中で主に使う音を定めるのかというと、一つの楽曲の中で全ての楽音を好き勝手に使うと、音の表現にまとまりが無く、よく分からない感じになるからです。
ですので、楽曲というのは、キーで定めた主に使う音をメインに、伴奏やメロディーを作っていきます。
このように、楽曲では、「調性」の範囲内で音を使う事が定められています。
ダイアトニックスケールは調性の範囲内で作られる音階
もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、冒頭で紹介したダイアトニックスケールの七つの音階というのは、調性の範囲内で作られています。
そのため、楽曲の中でダイアトニックスケールを使うと、調性の範囲における音階として違和感なく馴染みます。
ですので、アドリブ演奏でダイアトニックスケールの七つの音階を適当に弾いたとしても、伴奏の音と非和声音になってしまったりする事もあるかもしれませんが、ある程度は綺麗に馴染みます。
※ ちなみに、今さらですが、ダイアトニックスケールは、日本語では「全音階」、ジャズなどのジャンルでは「チャーチ・モード」(教会旋法)という呼ばれ方をします。
ダイアトニックスケールの七つの音階の名称
ダイアトニックスケールの七つの音階には、それぞれ名称が付けられていて、ダイアトニックスケールを使う場合には、その名称で呼びます。
- 第一音(主音)から始まる音階を「アイオニアン・スケール」
- 第二音から始まる音階を「ドリアン・スケール」
- 第三音から始まる音階を「フリジアン・スケール」
- 第四音から始まる音階を「リディアン・スケール」
- 第五音から始まる音階を「ミクソリディアン・スケール」
- 第六音から始まる音階を「エオリアン・スケール」
- 第七音から始まる音階を「ロクリアン・スケール」
という名称で呼びます。
※ また、ダイアトニックスケールで、第一音から始まるのはナチュラルメジャースケールで、第六音から始まるのはナチュラルマイナースケールですが、ダイアトニックスケールの視点で考えた場合には、アイオニアン・スケール、エオリアン・スケールという名称で呼びます。
アドイブ演奏に参加してみたい人や、バンドなどでジャムセッションを行ってみたい人は、その楽曲のキーが分かるようであれば、とりあえず、ダイアトニックスケールを弾いてみましょう。
初めに覚える音階(スケール)とは?
音階についての学習を始めた人が、まず初めに覚えるべき音階(スケール)は、ナチュラルメジャースケールでしょう。
”ナチュラルメジャースケールって名前からして難しそう”、と感じられるかもしれませんが、義務教育を受けた日本人の出しもが知っている「ドレミファソラシド」というのは、実はナチュラルメジャースケールです。
最も重要な音階、ナチュラルメジャースケール(自然長音階)
ナチュラルメジャースケールは、日本語では自然長音階と言います。
ナチュラルメジャースケールは、「ドレミファソラシド」のように、1オクターブの範囲内において、各音が「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」という音程差での並び方になっています。
「ドレミファソラシド」と聴いて分かるように、この音程差で音が並んでいると、自然と明るい音に聴こえてきます。
このナチュラルメジャースケールは、世の中にある全てのスケールの原型と言っても良いくらい重要な音階となっているので必ず覚えましょう。
ナチュラルマイナースケール(自然短音階)
ナチュラルメジャースケールの次に重要な音階なのが、ナチュラルマイナースケールです。
ナチュラルマイナースケールは、自然短音階といって、「ラシドレミレソラ」のように、1オクターブの範囲内において、各音が「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」という音程差での並び方になっています。
「ラシドレミファソラ」という音階を聴いて分かるように、この音程差で音が並んでいると、自然と暗い感じの音に聴こえます。
ナチュラルマイナースケールは、暗い雰囲気の音階における基礎となる音階なので、必ず覚えましょう。
主音とは?
主音というのは、ナチュラルメジャースケール、または、ナチュラルマイナースケールの始まりの音の事を意味しています。
例えば、ナチュラルメジャースケールの始まりの音が「ド」の場合、このナチュラルメジャースケールの主音(始まりの音)は「ド」という事になります。
同じように、ナチュラルマイナースケールの始まりの音が「ド」の場合、このナチュラルマイナースケールの主音は「ド」という事になります。
音階(スケール)の仕組み
音階(スケール)というのは、ピアノの鍵盤のどの位置から音階を始めたとしても、その音階の音程差での音の並びになっていると、同じような音階に聴こえます。
例えば、主音を「レ」(D)にして、音の並びを「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」という音程差で並べた「レミファ#ソラシド#レ」を順番に弾いていくと、「ドレミファソラシド」と同じような音階に聴こえると思います。
同じように、主音を「レ」(D)にして、音の並びを「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」という音程差で並べた「レミファソラシ♭ドレ」を順番に弾いていくと、「ラシドレミファソラ」と同じような音階に聴こえると思います。
このように、音階というのは、ピアノのどの鍵盤から始めても、その音階の音程差で音が並んでいれば、その音階と同じような音階に聴こえるという仕組みになっています。
音階の名前/スケール名
音階の仕組み上、音程差の並びで同じような音階に聴こえるので、その音程差の並び方に対して固有の名称を付けます。
例えば、先ほども登場した「全音・全音・半音・全音・全音・全音・半音」という音の並びの場合、「ナチュラルメジャースケール」と言って、「全音・半音・全音・全音・半音・全音・全音」という音の並びの場合、「ナチュラルマイナースケール」と言います。
そして、主音が何の音になっているのかを、その音程差の並び方の名称の左側に「アメリカ音名」で付け足します。
※ 「アメリカ音名」というのは、アメリカ、またはイギリスでの音名の呼び方の事で、アメリカ音名では、「ドレミらソラシド」の事を「CDEFGABC」と呼びます。
主音が「ミ」のナチュラルメジャースケールの場合、「Eナチュラルメジャースケール」と呼びます。
このように、何の音が始まりの音で、どういった音程差で並んでいるのか、という事を表す名称の事を「音階名」・「スケール名」と言います。
1オクターブの範囲内における音の並び
音階(おんかい)とは、英語におけるスケール(Scale)という名称の通り、1オクターブ範囲内における音の並び方の事を意味する音楽用語です。
音階は、1オクターブの範囲内において、特定の音程差で音が並んでいる状態を「○○スケール」というように表します。
音階には、様々な種類があり、それらの種類を覚える事で、メロディー作りやアドリブ演奏などに使う事が出来ます。
オクターブとは?
オクターブというのは、何かしらの音から、その音の二倍の周波数、または、1/2の周波数の範囲までの事を意味する音楽用語です。
ピアノの鍵盤に割り当てられている周波数は、一点イ(A4)の音を基準音(ピッチ)の440Hzとして、二倍の周波数の880Hzを二点イ(A5)、二分の一の周波数の220Hzをイ(A3)に割り当てています。
要するに、ある音から二倍の周波数、または、二分の一の周波数になると、番号の違う同じ音名になる訳です。
それは、一点ハ(C4)から二点ハ(C5)などの時も同じで、周波数が二倍、または二分の一になっています。
このように、一点イ(A4)から二点イ(A5)、二点ハ(C5)から一点ハ(C4)までの範囲の事を「オクターブ」と言います。
そして、オクターブが一つであれば「1オクターブ」、オクターブが二つであれば「2オクターブ」というように呼びます。
少し話が逸れましたが、音階とは、1オクターブの範囲内において、音が特定の音程差で並んでいる状態を表しますので、オクターブについての知識は理解しておいてください。
音程差とは?
音程差とは、二つの音の高さの差の事を意味する音楽用語です。
音程差を表す音楽用語には、「半音」と「全音」、「度数」という単位の二種類があります。
音階とはどういったものかを理解するうえでは、「半音」と「全音」、または「度数」という単位での音程差の表し方について理解しなくてはいけません。
半音と全音
「半音」というのは、ピアノの鍵盤の白い鍵盤と黒い鍵盤の音の高さの差の事です。
または、ミからファ、シからドの音程差の事を意味しています。
「全音」というのは、「半音」が二つ分の音程差の事です。
度数
「度数」という単位で音程差を表す場合には、半音の音程差は「短二度」というように表して、全音の音程差は「長二度」というように表します。
ただ、ドとド#のように、同じ音名の音に♯が付いている場合の音程差は、「完全一度」というように表します。
度数という単位で音程差を表すのは、コード理論が学習する際には必須となりますが、音階の学習をする際には、半音と全音での音程差が理解できていれば問題なので、度数についてはあまり細かく理解しなくても問題ありません。