アドリブ演奏で役立つ音階(スケール)
音階(スケール)の種類を覚える人の多くは、作曲の際にメロディーを作るのに音階を利用するか、アドリブ演奏に利用するために音階を覚えると思います。
アドリブ演奏で特に役立つのがダイアトニックスケールという七つの音階です。
ダイアトニックスケールとは?
ダイアトニックスケールとは、ナチュラルメジャースケール、または、ナチュラルマイナースケールの七つの音を音階の始まりの音として、そのナチュラルメジャースケール、ナチュラルマイナースケールの音だけを使って連続した七つの音で作る音階の事です。
例えば、「ドレミらソラシド」というナチュラルメジャースケールの場合、
- ドレミファソラシ
- レミファソラシド
- ミファソラシドレ
- ファソラシドレミ
- ソラシドレミファ
- ラシドレミファソ
- シドレミファソラ
というようにして作る7つの音階がダイアトニックスケールです。
このダイアトニックスケールが、どうしてアドリブ演奏で役立つのかというと、この七つの音階は「調性」の中で作られる音階だからです。
調性とは?
「調性」というのは、特定の音を主に使って楽曲を作る仕組み、または、その事によって作り出される秩序の事です。
一つの楽曲において、その楽曲の中で使う楽音というのは、その楽曲の「キー」(調)によって定められます。
例えば、「Key : E Major」(ホ長調)という場合、「ミファ#ソ#ラシド#レ#」という七つの音を主に使って楽曲を作ります。
この「Key : E Major」というのは、「E」(ミ)を主音とするナチュラルメジャースケールの音を使う、という事を表しています。
なぜ、楽曲の中で主に使う音を定めるのかというと、一つの楽曲の中で全ての楽音を好き勝手に使うと、音の表現にまとまりが無く、よく分からない感じになるからです。
ですので、楽曲というのは、キーで定めた主に使う音をメインに、伴奏やメロディーを作っていきます。
このように、楽曲では、「調性」の範囲内で音を使う事が定められています。
ダイアトニックスケールは調性の範囲内で作られる音階
もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、冒頭で紹介したダイアトニックスケールの七つの音階というのは、調性の範囲内で作られています。
そのため、楽曲の中でダイアトニックスケールを使うと、調性の範囲における音階として違和感なく馴染みます。
ですので、アドリブ演奏でダイアトニックスケールの七つの音階を適当に弾いたとしても、伴奏の音と非和声音になってしまったりする事もあるかもしれませんが、ある程度は綺麗に馴染みます。
※ ちなみに、今さらですが、ダイアトニックスケールは、日本語では「全音階」、ジャズなどのジャンルでは「チャーチ・モード」(教会旋法)という呼ばれ方をします。
ダイアトニックスケールの七つの音階の名称
ダイアトニックスケールの七つの音階には、それぞれ名称が付けられていて、ダイアトニックスケールを使う場合には、その名称で呼びます。
- 第一音(主音)から始まる音階を「アイオニアン・スケール」
- 第二音から始まる音階を「ドリアン・スケール」
- 第三音から始まる音階を「フリジアン・スケール」
- 第四音から始まる音階を「リディアン・スケール」
- 第五音から始まる音階を「ミクソリディアン・スケール」
- 第六音から始まる音階を「エオリアン・スケール」
- 第七音から始まる音階を「ロクリアン・スケール」
という名称で呼びます。
※ また、ダイアトニックスケールで、第一音から始まるのはナチュラルメジャースケールで、第六音から始まるのはナチュラルマイナースケールですが、ダイアトニックスケールの視点で考えた場合には、アイオニアン・スケール、エオリアン・スケールという名称で呼びます。
アドイブ演奏に参加してみたい人や、バンドなどでジャムセッションを行ってみたい人は、その楽曲のキーが分かるようであれば、とりあえず、ダイアトニックスケールを弾いてみましょう。